INTERVIEW #

18

氷見で生まれたフィッシュレザー

野口朋寿さん(tototo)

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2021.03.03 UP

氷見を拠点に「生命の恵みを無駄にしない持続可能なものづくり」をコンセプトにして、フィッシュレザーを使った製品を開発・製造しているブランド『tototo』。一風変わった魚の皮を加工した製品作りは、様々なメディアでも取り上げられ注目度も高まっている。『tototo』を主宰する野口さんの物作りの原点からフィッシュレザーとの出会い、氷見で制作を続けていくことの意味を伺った。

– 野口さんは富山大学芸術文化学部のご卒業ということですが、これまでどのような物作りをされてきたんですか?

野口:小さい頃から美術や工作が好きだったので高校は工芸高校に進学しました。地元の香川は古くから漆器産業が盛んな場所で、僕も自然と漆の作品を作るようになりました。高校卒業後は、富山大学の芸術文化学部のデザイン工芸コースに進み、「何かワクワクするもの」、「見たことがないもの」を作りたいという気持ちを持って色々なものを作りました。
漆を染み込ませた布を固めて器を作る乾漆だったり、牛革に漆をかけたり、セミの抜け殻に漆をかけてみたり…(笑)。趣味でレザークラフトもやっていたので、「レザークラフトと漆の技法を組み合わせたらどうなるんだろう?」と思うようになり、色々な実験を重ねました。爬虫類の皮を購入して漆を塗ってみたりもしましたね。ある日、鳥の皮を材料にして実験してみようと思い、スーパーに鳥の皮を買いにいった時に、たまたま魚の皮も買ってみたのが「フィッシュレザー」との最初の出会いです(笑)。

– フィッシュレザーの加工というのは前例があまりないと思うのですが、どうやって研究していったのですか?

野口:当初は何もわからないまま始めましたが、偶然にも氷見の靴職人、釣賀さんと知り合い一緒に研究することになりました。その後、皮なめし工場に見学に行くなどして少しずつ改善していき、卒業制作で鮭の皮と漆を使って作った服を3着発表しました。この時の鮭の革はとても固く魚臭さが残るものだったのですが、研究を重ね、魚臭さの原因となる脂分を加工の段階で徹底して除去することができるようになったので、魚独特の生臭さは現在開発しているフィッシュレザーには全くありません。また魚の皮は柔らかく脆いイメージがありますが、なめし加工を行うことによって驚くほど丈夫なレザーへと生まれ変わります。

野口さんの卒業制作の作品。

– 野口さんはなぜ氷見でフィッシュレザーの研究を続けるのですか?

野口:実家が寺なので、富山大学を卒業した後は、お寺の大学に通うために一時富山を離れました。しかし魚の皮でレザー製品を作るというアイデアは、氷見にいたからこそ思いついたことでもありますし、一緒にフィッシュレザーを研究をしてきた靴職人の釣賀さんを始め、今までの様々繋がりがあるところで今後もフィッシュレザーの研究をしていきたかったので、地域おこし協力隊として氷見にまた戻ってきました。
フィッシュレザーの原料となる魚の皮も地元の魚屋さんから本来廃棄されるはずの物を頂いているので、それも氷見にいる理由のひとつですね。

フィッシュレザーのハーフウォレット

– 『tototo』の今後の展望を教えてください。

野口:現在、財布やカードケース、iPhoneケースなどのアイテムを 『tototo』のサイトで販売しています。商品開発から加工作業、販売の仕組み作りまで、一人で全てできることではないので、色々な方と協力しながらフィッシュレザーの魅力を氷見から世界に向けて発信していきたいと思っています。今までもこれからも応援して頂いている皆さまと一緒に一歩ずつ進んで行ければと思います。

tototo

Mail / tototoleather@gmail.com
Web / www.tototoleather.com
IG / @tototo_official

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