INTERVIEW #

25

希望を照らす場所でありたい

關野洋香さん(PrivateSalonLAMP)

KEYWORDS

  • サロン
  • 子育て
  • 開業

2023.11.10 UP

まちの中心地にある商店街。市民会館前の交差点を海側に進むと、立派な寺院が見えてくる。浄土宗「西念寺」だ。その隣に完全予約制の美容サロン「PrivateSalonLAMP」が、2022年1月にオープンした。オーナーの關野さんは、実家である西念寺を手伝う現役のお坊さん。お坊さんとして働く傍ら、脱毛・まつ毛パーマ・ネイルなどの施術を通じて、女性の美容の悩みをサポートしている。二足のわらじで長年の夢だった美容サロンの創業を叶えた關野さんに、創業までの経緯やオープンへの想いについて伺った。

取材・文 / 一川有希

美容業界で働くことが長年の夢だったということですが、美容に関心をもったきっかけは?

關野:学生時代はハンドボールに打ち込んでいて、その反動でずっと美容に憧れをもっていました。いま思えば、爪や髪の毛を自由に伸ばせなかったことが一種のコンプレックスだったのかもしれません。

大学進学後、父が病気で倒れたことをきっかけに仏教系の大学に編入し、お坊さんの資格を取得して実家の手伝いを始めました。檀家の皆さんからも大変良くしてもらって。継ぐつもりはなかったお寺の仕事ですが、いまはとてもやりがいを感じていますね。
ただ美容業界にもずっと関心があって、仕事や子育ての合間にネイルやエステ、美容師免許の資格を取得しました。

そのときは自分でお店を持とうとは思ってもいなくて、昔からのコンプレックスを解消したいという気持ちの方が強かったですね。そもそもお坊さんと美容業を両立することはできないと思っていました。

もともと両立は難しいと感じられていたんですね。そんななか、今回のサロンはどのような経緯でオープンされたのですか?

關野:美容師免許を取得してから10年間は、自分のやりたいことよりもお寺の手伝いと子育てを最優先させてきました。

ある日子どもに将来の夢を聞いたら、親がびっくりするくらいまっすぐに将来の夢やこれからやってみたいことについて話してくれたことがあったんです。堂々と夢を語る姿を見て「あれ、私のやりたいことって何だろう?」ってなんだかこっちが考えさせられて…。

これまでは「ママだから」「お坊さんだから」と、つい自分を後回しにしてきましたが、子育てが落ち着いてきた今だからこそ、夢だった美容の仕事ができるかもしれないと思いました。

勇気を出して美容サロンを創業してみたいと家族に相談したところ、快く背中を押してもらえて。起業したママ友や、氷見市ビジネスサポートセンターHimi-Bizに相談しながら準備を進めて、2022年に寺院横の自宅サロンにて美容サロンを創業しました。

サロンのコンセプトに掲げられている「お客様の未来に希望の光を照らす場所」とは、どのような想いでつけられたのですか?

關野:創業当初は脱毛サービスを中心に施術を行っていましたが、毛の悩みってなかなか人に話しにくくありませんか?私も昔コンプレックスで悩んでいたことがあったからこそ、自分1人で抱え込まず、コンプレックスを話せる・解決できる場所を作りたいという想いでお店をつくりました。

サロンに来ることで、少しでもお客様が明るく笑顔になれる。
そんなお手伝いをしていきたいと思っています。

サロンの名前である「LAMP」にも、同様に「光を照らす」という意味がありますね。

關野:そうです。サロンを創業しようと決めたときから、店名は絶対にお寺に関係があるものにしようと決めていました。何にしようか考えていたときに、修行のときにみた灯明(神仏に備えるロウソクの火)が頭に浮かびました。

その日は、真冬の夜でとっても寒かったのを覚えています。寒さで震えながらも、一番後ろの席から寺院全体を見渡したとき、ロウソクの灯りが周り一面を照らしているのが見えました。その灯りが、言い表せないくらいやさしく、あたたかく私たちを包み込んでくれている様子に胸が震えました。

サロンもあの日見た灯明の光のように、誰かにとってあたたかい希望の光になっていきたいと思っています。

実際にオープンしてみていかがですか?

關野:もう楽しいの一言ですね。長年の夢を叶えることができ、間近でお客様が喜んでいる様子を見ることができてとてもうれしいです。

お坊さんとして月参りや葬式などに行くこともありますが、まだまだ両親が元気なので、いまは美容サロンを優先して働かせてもらっています。

お坊さんとしてもいまの二足のわらじの状況を活かして、お寺をより身近に感じてもらえるようにしていきたいと思っているんです。最近ではお寺で親子向け体験イベントを開催しました。気軽に法話や説法を伝えていけるよう、お寺のことももっと勉強していきたいですね。

女性は男性に比べて、結婚・出産などのライフイベントによる変化の影響が大きいと思います。女性が自分の夢を実現していくためにはどんなことが大切だと感じますか?

關野:私自身、自分のやりたいことや考えていることを口に出すようになったおかげで、どんどん前へ進むことができました。
夢や想いを語ることで応援してくれる人が見つかり、自分1人で溜め込んでいたことも口に出すことで周囲からの協力を得られました。人の力を借りることも、夢を実現していくにはとても大切なことだと思っています。

これまで自分のことを後回しにすることが多かったから、はじめは口に出して想いを伝えることにとても勇気がいりました。そういうママの方、多いんじゃないかな。でも、勇気を出して一歩踏み出せば、きっと新しい道が開けていくと思います。

今回のオープンで長年の夢を1つ叶えることができましたが、まだまだやりたいことはたくさんあるんです。これからも夢や目標を発信し、楽しみながら1つずつ実現していきたいです。



PrivateSalonLAMP

住所 / 氷見市南大町4-18
営業時間 / 9:00〜17:00
※葬儀等で日時変更をお願いする場合もございます
定休日 / 日曜
TEL / 080-8996-0815
駐車場 /1台

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