ー「牛屋」をはじめたきっかけを教えてください。
もともと実家が、祖父の代から商店街で肉屋を営んでいました。小さい頃から祖父や両親の背中を見て育ったからか、自然と「将来は肉屋を継ぐ」と決めていましたね。県外の大学を卒業後、富山市の肉屋に就職し、27歳のときに氷見に戻って家業を継ぎました。そこから10年間は、毎日朝から晩まで肉を切って、配達に行く日々でしたね。
小売業だけではなく、飲食業にも目を向け始めたのは約15年前です。1995年に「氷見牛」がブランド化され、TV番組などの影響で少しずつ世間に認知されはじめたタイミングでした。気軽に氷見牛を食べられる場所を作りたいと思い、はじめたのが焼肉店「牛屋」です。
ー今では本店(氷見)のほかに、高岡、富山、金沢など、どんどん市外にもお店を出店されていますね。
氷見牛は飼育数自体が多くないため、これまでは氷見に行かなければ食べられない、希少性の高い肉でした。氷見は立地的にも辺鄙な場所にあるため、氷見牛を食べたくても食べられない方も多くいます。より多くの方に氷見牛を知ってもらうためにも、氷見だけにこだわらず、積極的に外に出ていく必要があると感じていました。とはいっても、やっぱり氷見が一番の要です。そこは昔から変わりませんね。
ー細川さんからみて、氷見牛の魅力はどんなところにあると思いますか?
氷見牛の特徴は、さしの入り具合をいう「脂肪交雑」と「脂肪の質」のバランスの良さですね。氷見の豊かな自然環境でストレスを与えないように、丁寧に育てられていることも美味しさにつながっていると思います。
氷見牛の生産農家は年々少なくなってきていて、かつては13戸の農家が約1,300頭ほど飼育していましたが、現在は8戸の農家が約300頭ほど飼育している状況です。そのため牛屋では氷見牛を一頭買いし、余すことなく氷見牛を提供することにこだわっています。
ー2021年にリニューアルオープンした「精肉牛屋」では、焼き鳥、餃子、サラダ、ソフトクリームなど牛以外にもたくさんの惣菜が並んでいますね。牛だけにこだわっていないのはなにか理由があるんでしょうか?
そこはやっぱり昔から「地元の肉屋」をやってきた流れがあるんだと思います。家の近くにこんなお店があったら便利じゃないですか。家で揚げ物をするのは大変だけど、精肉牛屋に行けば揚げ物も惣菜も揃います。長年地域の方が日常的にご飯のおかずを買いに来てくれていたからこそ、地元の肉屋としてその機能は維持し続けたいですね。
ー細川さんにとって、氷見はどんなまちだと感じていますか?
生活するには、最高な場所ですよね。食事は美味しいし、自然もあるし、氷見線も1時間に1本しかないからか、ゆっくり時間が流れているし(笑)。親父がアクティビティ好きな人だったから、小さい頃はよく船に乗って釣りに行くなど、遊びに連れて行ってもらいました。いまでいうスローな暮らしに近いと思います。都会には都会の良さがあると思いますが、氷見で過ごしていると心が安らかに、豊かになるような気がしますね。もっと氷見に仕事があれば、ここで生活したい!と思う人は、多いと思います。
ー今後の展望やこれから取り組んでいきたいことを教えてください。
現在氷見店の横に1日1組限定のプライベートヴィラを建設しています。県内・外に進出しても、やっぱり氷見店は一番の肝となる場所です。氷見には良いものがたくさんあるからこそ、通過点ではなく滞在してもらい、たらふく氷見の美味しいものや氷見牛を食べてもらえる場所を作り
また、次世代に氷見牛を存続させていくためにも、今後は氷見牛の生産にも挑戦していきたいと考えています。
ー最後にこれから氷見で創業したい方へメッセージをお願いします。
人生1回きりなので、まずは思い残すことのないように飛び込んでほしいですね。これまで色々とやってきましたが、紙ベースだけで考えていたら出来なかったと思うんです。計算してても全然うまくいかないですからね(笑)。数字から考えるのではなく、まずはなにがあったらお客様に喜んでもらえるのかを考える。そこからどう実現できるかを考えていくといいと思います。
あとは、いつもアンテナを張っておくことですね。アンテナを張っていろんな人と繋がることで、やりたいことに近づいていくと思います。とにかく人生は楽しむのが一番。仲間と一緒に楽しみながら、氷見で頑張っていってほしいです。
牛屋
住所 / 富山県氷見市朝日丘1-41
TEL / 0766-30-9008
駐車場 / 有
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