– 礒辺さんは生まれも育ちも氷見ということで、氷見でどのように暮らしてきたんですか?
礒辺:私が育った場所もこの店の近くなんですが、小さい頃は、海で遊んだり、お宮さんで遊んだり、何にもなかったけれど自分たちでいろんな遊びを考えていたから毎日とても楽しかったですね。近所でご飯を食べさせてもらえる時代で、地域で子供を育てているような感じでした。
自分が高校生になったくらいから郊外に大きなショッピングセンターが出来始めて、少しずつ商店街からお客さんの姿が消えていきました。母が喫茶店をしたので、高校時代から手伝いをしてたんですが、そこから今までだいたい飲食関係の仕事をしてきています。いくつかお店は変わっているのですが、この場所で『居酒屋 呑多喰』を開いてからは15年目ですね。小学校の卒業文集に「将来の夢はお店をする」と書いていたので夢は実現しています(笑)。
– この場所でお店を営んできて感じることはありますか?
礒辺:昔は浴衣を着て、阿尾の方から観光客の方がたくさん飲みにいらしたんです。自分が知らない世界の話をいろいろ聞かせてくれるのでそれがとても楽しかったです。地元の方もよく来てくれて、親が飲んでいる横で塗り絵をしていたお子さんも、大きくなって結婚の挨拶に来てくれたり、そういう成長や変化が我が事のようにうれしいですね。
3歳から知っていた子が結婚して赤ちゃんが生まれたのが本当に本当に嬉しかった。子供の頃、オムツを替えた事のある子がお客さんの中にいますよ(笑)。このような時間の経過の中で素敵な思い出ができたのは長年やってきたからだと思いますし、氷見だったからこそ家族のような雰囲気でお客さんと接することができたんじゃないかと思います。
– 最近ではコロナ禍もあり、飲食業は大変な時期だと思います。
礒辺:長い間、北の橋が通行止めだったこともあり、それが原因で商店街への観光客の足は遠のきました。やっと橋が開通したと思ったらこのコロナ禍です。その影響もあり、夜の営業はお客さんが減ってしまったので、今はお昼に力をいれてますね。地元の方や職人さんが来てくれていて、日々お客さんに支えられていることを実感しています。
– 礒辺さんにとって氷見ってどんな場所ですか?そして、これからの氷見に期待することがあれば教えてください。
礒辺:息子も「氷見は何にもない町だ」というくせに、なんだかんだ氷見に住み続けている。私が小さい頃も何もなかったけど、何もなかったからこそ、考える余地があったので楽しかったのかもしれないですね。氷見の良さはそういうところにもあるのかもしれません。
昭和の時代には、氷見でも商店街の外れの小道に個性も様々な色んな居酒屋が連なっていて「楽しく飲みたい時はこのお店」、「しっぽりのみたい時にはこのお店」みたいな感じで皆が共存していました。小さい頃はそれがちょっと怖く見えたりもしてたけど、またああいう景色が氷見に戻ってきたら楽しいなと思います。
居酒屋 呑多喰
住所 / 富山県氷見市中央町14-5
営業時間 / 11:30〜14:00 17:30〜22:00
定休日 / ランチタイム 月曜
居酒屋タイム 日曜
最終月曜日は1日休み
TEL / 0766-74-6688
KEYWORDS
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